こんにちは、古川です。

今日から11月に入りました。今年も残すところあと2ヶ月です。皆様は年初めに設定した目標は達成できましたでしょうか?私はまだ手付かずのものも残っていまして、あと2ヶ月のラストスパートで頑張りたいと思います。

10月26日〜30日に静岡県御殿場市の国立中央青少年交流の家で開催された WALS(Wilderness Advanced Life Support)コースを受講してきました。WALSコースはWMAJ(Wilderness Medical Associates Japan)が主催するコースの一つで、医師や看護師、救急救命士を対象とした野外・災害救急法のコースです。
「Wilderness」とは、日本語では「ウィルダネス状況下」と訳されて、「傷病への決定的な処置(病院での医療的処置)を受けられるまで長時間を要する状況」と定義しています。
多くの方は深い山間地を想像されるかもしれませんが、山間地だけでなく平場の地域でも夜間の時間帯、荒天状況、交通・通信の不通、災害などによって医療アクセスが困難な状況(ウィルダネス状況下)となることが考えられます。そのような状況でも「いのちをつなぐ」救急法が「野外・災害救急法」になります。
Wilderness Medical Associates は1981年の北米での創設以来、過酷な環境や状況における実用的な医学の発展へ向け世界規模で貢献を続けており、日本では2007年に初開催となり現在では世界7大大陸、25ヵ国を超える国々でコースが開催されています。

今回のWALSコースは、全国から様々なアウトドアバックグラウンドを持った医師、看護師、救急救命士、米軍MEDICが集まりました。さらに世界の山岳情報に精通し活躍されているジャーナリストの方がオブザーバーとして参加され、地元テレビ局も南海トラフ地震に対する防災番組としての取材が入りました。
講師は、北米救急医のデイビッド・ジョンソン先生で、英語での講義を日本人インストラクターが同時通訳を行い説明してくださいました。

カリキュラムはウィルダネス状況下で必要とされる評価と処置、また長時間に及ぶ経過観察と看護、過酷な自然環境下での考え方などを体系的にまとめた内容で、座学を通じて頭で理論的に理解し、実技を通して体で覚える講習内容になっています。
講義は解剖学や生理学に基づいての疾病、創傷、野外環境因子による特徴的な疾病の病態、機序、評価、処置の座学での説明があり、そのつど実際に屋外での実習が行われました。毎日朝から夕食後の時間を使って講義が行われました。受講生からはそれぞれの立場からの積極的な質問があり、インストラクターの皆さんは休み時間や食事時間でも質問に丁寧に対応してくださいました。

また、個性的な受講生をまとめて雰囲気の良い講習環境を作り、受講生に合わせたシミュレーションの規模、捜索範囲、人数、傷病設定、携行資器材も全て緻密に計算されていて、内容が簡単過ぎず、過度なストレスもかからない設定がされているところに、コース回数を重ねているインストラクターの余裕がみられ、講習を運営する側としてみても大変勉強となる講習会でした。

4日目の夜には大規模なシミュレーションが行われました。
限られた時間内で組織を編成し活動方針を定め、資器材の準備を行いシミュレーションに臨みました。
当日の天候は雨、気温9℃、光源が全くない敷地で、傷病者人数不明の中での捜索活動を行い、情報を共有し、配置を決めてそれぞれの現場に向かい評価・処置・搬送を行いました。
準備を含めると4時間以上も使ったシミュレーションで、9名のボランティアの皆さんは雨の中で寒さに耐えながら傷病者を演じてくださり、実際の現場に近い貴重なシミュレーションを経験させて頂きました。
災害活動においては、活動の指揮統括、傷病者の捜索救助、現場における傷病者の正確な評価、処置による安定化、迅速な搬送、傷病者と関係者のケアなど、他職種がそれぞれの職域特性を最大限に活かし繋げ合って、一人の命を救います。
そのことを、このシミュレーションを通して痛感しました。

私自身、今回受講しまして座学・実技ともに大変勉強になりましたが、改めて他職種間における連携の重要さについて再認識しました。
他職種間の連携は有事の際に即席でできるものではありません。普段より顔の見える関係を築き、有事の際を想定し他職種間における訓練を重ねて、お互いの職域を理解しコミュニケーションがとれる体制を構築していくことが必要と感じました。
また、災害時には医療関係者だけでなく、役場職員や消防団の皆さん、地域の皆さんと協力して活動していかなくてはなりません。普段より減災・防災活動の周知を図ることも私達の役目であり、今後の活動に加えていこうと思いました。

最後になりましたが、このような素晴らしい講習会を企画・運営をしてくださった講師・スタッフの皆様、雨天の中で傷病者役になってくださったボランティアの皆様、5日間支えてくださった受講生の皆様に心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

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